未来終活
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旅行記

エジプト紀行 三日目

昨夜日付が変わってからの到着にもかかわらず、6時のモーニングコールで叩き起こされ、6時半のトランク出し、7時半にはアスワンからアブシンベルへ向けてホテルを出発。280キロの3時間半の道のりをバスで走り抜ける。
道中はひたすら砂漠の連続で、ここが国土の95%が砂漠の国エジプトであることを思い知らされる。

途中に一度だけドライブイン、などとはお世辞にも呼べない、昔の隊商がキャンプを張ったようなテント小屋でお茶とトイレ休憩。5エジプトポンド(35円)の有料トイレは水は出難く鍵は閉まらない。

それからまたひたすら爆走。
ようやく着いたのは砂漠のど真ん中。しかし貴重な観光資源なので、門に囲まれて整備されそれなりのインフラは整っている。

私の古代エジプトのイメージの象徴はまさにこのアブシンベル宮殿だった。

きょうは素敵なガラベイヤを纏っているガイドのシャバーンさんによると、この大岩窟神殿を建設したのは3300年前、新興国時代第19王朝のラメセス二世。正面四対のラメセス二世の巨大な像は高さ20メートル。中に入ると大列柱室にもオシリス像が並ぶ。

神殿の一番奥にある至聖所には、ラー・ホルアクティ神やアラン・ラー神、ブタハ神に混じって自らを神格化したラメセス二世の像(右から二番目)が並ぶ。この至聖所には2月22日前後と10月22日前後だけ朝日が届くという。

アブシンベル宮殿の威容を実際に目にし、それをダムの予定地で解体した巨大なピースのひとつひとつを60メートルの高台まで吊り上げて再構築したという想像も出来ない難工事に改めて思いを馳せる。

3300年前に長期政権を担ったラムセス二世の権勢を今に伝えるこの巨大な遺跡がアスワンハイダムの底に沈むことを憂いて、高台に移築するという国連絡みの文化的な一大事業が、その後の世界遺産という壮大な構想に繋がっていく。
その意味でアスワンハイダムは紀元前3300年前と20世紀の人類の叡智と技術の結晶と言っても過言ではない。

眼下になみなみと水を湛えるナセル湖はあくまでも豊かで美しく輝き、湖面から吹き上げる爽やかな風は私達の頬を掠めてアブシンベル大神殿小神殿を撫であげていく。この風に吹かれただけでもエジプトに来た甲斐があったと思った。

アスワンから再び3時間半の道のりを戻り、今宵から三日間の住まいとなるクルーズ船に辿り着き本日の行程は無事に終了。

明日からのナイル河クルーズに備えてクルーズ船でのディナーブュッフェと堪能する。私たちは今ナイル川の上にいる。