2018年日本 原作 川口俊一 監督 塚原亜由子 主演 有村架純
あらすじ
とある街の喫茶店「フニクリフニクラ」には不思議な都市伝説があった。ある席に座ると望んだ過去にタイムスリップできるという。ただしいろいろと面倒くさい条件を満たせる場合だけに限る。しかもいつもそこに座る先客がいる。きょうも不思議な噂を聞いた客がこの喫茶店を訪れる。ほんの少しだけの時間、喫茶店のオーナー一族である時田家の女性が淹れた一杯のコーヒーを冷めないうちに飲み干すことが条件のひとつ。但し過去に戻ってどんなことをしても現実は決して変わらない。
それでも過去に戻り、生きていても死んでいても逢いたかった人との再会を望む客たち。過去に戻った人たちがそこで体験することとは一体なんだったのか?
感想
この映画を終活映画とカテゴライズするか迷うところだが、起きてしまったことは変えられない。しかし亡くなった人に対して、あの日あの時に言いたかったこと、それをあの日に戻ってちゃんと伝えることができたなら、遺された人々の心から後悔の念が消えることは間違いない。「思ったことは全部伝えなさい。ありがとうもごめんさいも全部。そうしたら後悔することはないわ」そういう意味ではグリーフケアの映画である。
亡くなった妹に会えた女性は「あの子が死んだことを悲しんでいたら、あの子は皆を悲しませるために生まれてきたことになる。だから私は悲しまない。幸せになる。そしてまわりの人もみんな幸せにする」こういうセリフが聞かれると前向きに生きる決意になれたことがわかってホッとする。「たったコーヒー一杯分の時間でも心は変わる」まったくその通りだと思う。
有村架純、吉田羊、石田ゆり子、薬師丸ひろこ、波瑠、などそうそうたる旬の女優たちの競演が楽しい。