未来終活
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映画に学ぶ終活

「アリスのままで」

2014年アメリカ 原作 リサ・ジェノヴァ 原題 Still Alice 監督 リチャード・グラツァー、ウォッシュ・ウェストモアランド 主演 ジュリアン・ムーア 第87回アカデミー主演女優賞

あらすじ


アリスは50歳の誕生日を迎えまさに人生の充実期にいた。言語学者として名声を得てコロンビア大学の教授に就任し、家庭でも愛する夫と幸せな結婚をした長女、医学生の長男に恵まれ、唯一の気がかりは女優の道を目指す次女の将来。

しかし、異変はある日突然起こる。講演中に言語学の大家であるはずの自分が適切な言葉を失い、ジョギングの途中で突如自分が今どこにいるのかわからなくなる。単なる物忘れではない、すっぽり記憶が抜け落ちる感覚なのだ。

診断の結果は遺伝性の若年性認知症。長女にもその遺伝子が伝わっていることまでわかった。その日からアリスと家族の葛藤の日々が始まる。
知性が高ければそれだけプライドも高い。未来の自分に向けてパソコンにメッセージを残す。もし自分の誕生日も忘れるくらい病状が進んだら棚の奥深く仕込んだ睡眠薬を飲むようにと指示を出し、たとえその意味がよくわからなくても過去の自分を信頼しそれを忠実に実行しようとするアリスだった。

感想

ジュリアン・ムーアの演技が光る。認知症が進行していくにつれて表情がどんどん変化し、アルツハイマー病患者の病変を見事に演じ切る。この年のアカデミー主演女優賞に納得。

しかし、自分を失っていく恐怖っていったいどんなだろう?言語学者であったアリスは薄れていく知性の中でもこのように表現している。
私は今まで自分を定義づけてきた。私の知性によって、自分の言葉で、明確な表現で。だけど今はすぐ目の前に言葉が引っかかっているのに届かない。自分が誰かわからない。次は何を失うのかも・・

認知症の闇は深い。何もかも忘れて幸せなわけがない。認知症の高齢者がいつも何か探しているのはそのためだ。記憶をなくすということは、生きてきた道を見失うということなのだ。