未来終活
ワクワクする後半生の設計図を描こう
映画に学ぶ終活

「ロング、ロングバケーション」

原題 「The Lesure Seeker」 2017年 イタリア・フランス 監督パオロ・ヴィルズィ 主演ドナルド・サザーランド ヘレン・ミレン 原作 「旅の終わりに」マイケル・ザドゥリアン」 ヴェネチア国際映画祭金獅子賞と主演男優賞を受賞

あらすじ


元文学教師でアルツハイマー病が進行するジョンと末期がんで余命いくばくもないと知る妻エラは半世紀の結婚生活を過ごし、子供たちも既に独立した。ジョンが病気のエラに負担をかけないように、息子と共に暮らすか施設に入るかという究極の選択を迫られたとき、二人は子供たちにも告げず、突然愛用のキャンピングカーで旅に出る。ジョンの大好きな作家ヘミングウェーの家があるフロリダのキーウェストを目指し、様々なハプニングを乗り越えながら国道一号線をひたすら南下していく中で二人はそれまでの人生を振り返り、それぞれに対する想いを確認していく(人生の)ロードムービー。

感想


ドラマの中でジョンの症状が度々変わり、認知症の特徴が実にうまく盛り込まれている。きめ細かく描かれている点はすごい。ジョンの言動がきっかけで夫婦の心象風景が次々に暴かれていく。幼かった子供たちのスライドを見ながら確認する今も変わらぬ愛情。エラの初恋の人に対するジョンの激しい嫉妬。エラがそれまで知らなかったジョンの浮気。二人はその度に怒り、悲しみ、笑い、二人の絆を確かめていく過程が丁寧に描かれており説得力がある。結末については賛否両論、いろいろな意見があるだろう。このせいであまり批評家の評判は良くなかったらしい。エラの選択を推奨はできないが、少なくとも私は共感は出来る。ロング、ロングバケーションという表題が最後に意味あるものとなる。