未来終活
ワクワクする後半生の設計図を描こう
映画に学ぶ終活

「ヴィンセントが教えてくれたこと」

2014年 アメリカ合衆国 監督 セオドア・メルフィ 主演 ビル・マーレイ 

あらすじ

酒と女とギャンブルに明け暮れる不良老人のヴィンセントは、金がないばかりか借金まみれ。隣に引っ越してきたシングルマザーの小学生オリバーの放課後のシッターのアルバイトをひょんなことから引き受けることになった。喧嘩のやり方を指導したり、行きつけのバーや競馬場へ連れ歩き、一見ろくでもないことを教えるが、二人の間には年の差を超えて確かな友情が芽生え、楽しい冒険の日々が続く。しかしある日あることをきっかけにそれらがバレて二人の交流には終止符が打たれてしまう。世間では脱落者の烙印を捺されたビンセントなのにオリバーは学校の課題で「僕の選んだ聖人」として発表する。そこで紹介された彼の本当の姿とは・・

感想


ここで亡くなるのは認知症だった彼の妻。金のないところを無理をして高級な施設に入れ、夫のことを主治医と勘違いする妻をこまめに見舞っていたが、彼が入院している間に突然逝ってしまう。慰留品と一緒に遺灰となって箱に収められた妻を「小さくなってここに住んでいる」とオリバーに説明する場面は淡々としていながら余計に哀しさが滲み出る。脳梗塞で死にかけたヴィンセントがオリバーに教えたかったのは、人としての価値はキチンとした生活を送ったりお金に不自由しないことより、自分の信念を貫いて自分らしく生き愛する人を守ることだった。副題「さあ、人生のホームワークを始めよう」が謳う通り人生の意味を問い直す佳作。