未来終活
ワクワクする後半生の設計図を描こう
映画に学ぶ終活

「君に読む物語」

2004年アメリカ 原作 ニコラス・スパークス 監督 ニック・カサヴェテス 主演 ライアン・ゴズリング 助演 ジーナ・ローランズ

あらすじ

老人ホームで過ごす老婦人のもとに通う一人の老紳士。彼はいつも彼女のために物語を読み聞かせている。それは1940年の夏、南部の町の夏から始まる物語。

夏の休暇を過ごしに家族とこの町にやってきた17歳のアリーに一目惚れした地元の青年ノア。製材所で働くノアと金持ちの令嬢アリーは身分違いの恋に落ちる。けれど娘の将来を案じるアリーの両親に交際を阻まれ、ノアがアリーに宛てた365通の手紙も届かないまま、やがて第二次世界大戦が始まり二人は離れ離れになっていく。

7年の月日が流れアリーは両親も喜ぶ相手と婚約していた。結婚式も間近に迫ったある日、アリーはノアが農園の古い邸宅を見事にリフォームしたことを新聞で知る。それはかつてノアがアリーのためにと約束したことだった。アリーはノアに会いにゆき・・・二人の時計は再び動き出す。

やがて時は過ぎ、認知症の初期を自覚した妻は自分たちの恋物語を記し、それを夫に託して自分が認知症になったらこの物語を読んで聞かせて欲しいと頼んだ。そうしたら自分はきっと二人の愛を思い出すからと。それを忠実に実行する夫。二人のラブストーリーはまだ完結していない。

認知症となった老妻役のジーナ・ローランズは監督の実母だという。認知症の難しい症状を見事に演じ分け、第9回ゴールデン・サテライト賞助演女優賞を獲得している。

感想

15年以上前にこの映画を見たと思うが、以前とはまったく違う印象を得た。当時は若い二人のラブストーリーを見ていたのかもしれない。しかし、今回は認知症となった妻とそれを見守る夫の話として受け止めている。

子供たちのこともわからなくなったアリーのそばに居続けるノアに、娘たちは帰って来るように言うが、ノアは「アリーのいるところが自分の家だ」と断るセリフがグッと来る。

何度読んだかしれないその物語を聞くうちに突然「それは私たちのことだわ!」と気が付くアリー。「正気」に戻ったと喜ぶノアと抱き合って「再会」を喜んだのも束の間、ほんの数分でノアを「あんた誰よ?」とばかりに不審者扱いして騒ぎ立てる認知症の不可思議さも私は知っている。

気落ちしたノアが狭心症の発作で入院し、ようやく退院してきた晩、ノアはアリーの病室に忍び込む。目を覚ましたアリーは「正気」だった。並んでベッドに横たわり手を繋いで愛を確かめ合う二人。やがて朝が訪れた時…

今回見直して本当に良かった。認知症を扱った映画の中では私は一番好きです。ハンカチを用意してご覧ください。