未来終活
ワクワクする後半生の設計図を描こう
映画に学ぶ終活

「星守る犬」

2011年日本 原作コミック 村上たかし 監督 瀧本智行 主演 西田敏行

あらすじ


北海道の小さな町の片隅で、死後半年を経過したとみられる男性と、死後ひと月の犬の遺体が見つかる。市役所の福祉課勤務の奥津は、遺棄された車に残されていたリサイクルショップの買い取り証を発見。彼は仕事上仕方なく、50代とおぼしき身元不明の男性と犬がたどったと思われる道を辿ることになる。失業から一家離散を経てホームレスとなった男性が、たった一つ残された財産のオンボロ車とたった一つの大切な家族愛犬ハッピーと旅に出ていた過去が明らかにされていく。

感想


人生を諦めた男が愛犬と共に、東京から福島、宮城、岩手、青森、北海道へ車で移動するロードムービーはあてもない死出の旅だったのか。タイトルともなっている『星守る犬』は「犬がもの欲しそうに星を見続けている姿から、手に入らないものを求める人のことを指す」という意味の言葉であると原作では語られていたというが、この映画でのキャッチコピーは「望みつづけるその先に、きっと希望があると思う」。 結局希望は見いだせなかったが、市役所の青年によって明らかにされた「おとうさん」の軌跡は最後まで精いっぱい生きようとした一人の誠実な人間の生き様であった。孤独死の変形ともいうべき寂しい終活映画である。唯一の救いが愛犬が看取ってくれたということだろうか。愛犬の末路も惨めであった。感動というよりこの世では哀れさだけが残る。希望は来世に見出すしかない。