未来終活
ワクワクする後半生の設計図を描こう
映画に学ぶ終活

「死ぬまでにしたい10のこと」

邦題「死ぬまでにしたい10のこと」原題「my life without me」2003年カナダ・スペイン合作 イザベル・コイシュ監督 

あらすじ

23歳のアンは失業中の夫と二人の幼い娘と共に、夜間は大学の清掃バイトをしながら母親の家の裏庭のトレーラーハウスでそれなりの幸せのうちに暮らしている。ある日突然の吐き気と腹痛で気を失った彼女が病院で精密検査を受けた結果、受けた診断は卵巣がんからの全身転移、もはや余命は二ヶ月と告げられる。アンは気丈にも誰にも病気のことを打ち明けないと決心し、すべてを一人で受け止めて死ぬまでにすべきことを10個書き出してそれを着実に実行していく。

感想


主人公が雨に打たれて水の冷たさや裸足で踏む土の触感を感じ、生きているということを五感で実感している冒頭シーンは印象深い。

「死ぬまでにしたい10のこと」のリストの中に「夫以外の人とつきあってみる」「誰かを私に夢中にさせる」という項目があって、これが家族想いの他の項目とは違ってケシカランとこの映画の評価を二分するわけだけど、初恋の人の子供を身ごもり17歳から母親業から逃げられなかった若い女性であれば、こういう願いはあっても不思議はないよという共感は同性として出来る。

だが、そんな恋愛対象がすぐに目の前に現れるか?また子供たちが気に入る新しいママ候補が都合よく隣の家に越してくるか?など、フィクションまみれになってしまったのが残念ポイント。しかし、ショッピングセンターを歩きながらアンが呟く言葉には胸を打たれる。
どんなぜいたく品を見ても欲しいとは思わない。私が消えてもなくならないものばかり・・・

ともあれ、アンは「死ぬまでにしたい10のこと」を完遂して無事に旅立つ。

これは果たしてメデタシ!なのか??短い間だったが、やりたいことをすべてやり終えたのだから、メデタシといえばメデタシなのかも。


2011年3月東日本大震災の日、何の前触れもなく訪れた地震と津波によって突然命を奪われた数万人の人々は何の準備も出来ずに逝ってしまった。
「終活」がひとごとではない、「いつかそのうち」ではいけない、と感じるのも犠牲者の方々が遺してくれた尊い教訓だったのではないだろうか。決して無駄にはすまい。