未来終活
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映画に学ぶ終活

「鬼滅の刃 無限列車編」

2020年日本 監督 外崎春雄 原作 吾峠 呼世晴 脚本製作 ufotable

「週刊少年ジャンプ」で2016~20年に連載され、単行本1~22巻の累計発行部数が1億部を突破する吾峠呼世晴の大ヒット漫画をアニメ化し、2019年4月~9月にかけて1話から26話にわたって放送された「鬼滅の刃」の劇場版。炭治郎らが無限列車に乗り込む場面で終了したテレビアニメ版「竈門炭治郎 立志編」最終話のその後の物語。公開24日で興行収入204億円を突破しこれまでの最高だった「千と千尋の神隠し」308億円を凌ぐ勢い。 

あらすじ

大正時代の日本。父に先立たれながらも炭を焼いて母と弟妹を支え、貧しいながらも幸せに暮らしていた竈門炭治郎少年。ある日、町に炭を売りに行っている間に鬼に家族を皆殺しにされ、ただ一人生き残った妹の禰豆子も鬼に変貌させられてしまった炭治郎は、妹を人間に戻し、家族を殺した鬼を討つため、鬼狩りの道を進む決意をする。

厳しい鬼殺隊への選抜試験を突破し、蝶屋敷での修業を終えた炭治郎たちは、短期間のうちに40人以上もの人が行方不明になっているという無限列車に到着する。炭治郎、禰豆子、善逸、伊之助は、鬼殺隊最強の剣士の1人、煉獄杏寿郎と合流し、無限列車の中で鬼と立ち向かう。

感想

感想以前に、なぜ私のような中年女性が、アニメシリーズ26話を見通し、念入りに予習してまでこの映画を見に行ったかというところから説明したい。

「このアニメは少年誌に掲載されていながら、実は家族愛を描いた少女漫画である。それゆえ少年誌というブルーオーシャンの中で異彩を放ち、異例のヒットをしているのだ」という解釈を読み、それが本当かどうかを確かめたかったというのが動機である。

結論としてそれはある程度、正解だったと思う。劇中、敵方がそれぞれの精神世界に入り込み、その中にある精神の核を破壊するという場面があるのだが、主人公炭二郎の心の風景はあくまで穏やかに澄み切った湖面に青空が映えるウユニ塩湖のような光景だった。これほど美しい心の持ち主はいるだろうか・・ということなのだ。後半ストーリーが進み、激闘の末、最強の戦士の一人であった煉獄杏寿郎が力尽きて炭治郎たちと最後の別れを告げる場面で号泣する女性たちの想いの底にあるのは、男にはかくも強く、潔く、美しくあって欲しいという願望なのだと思う。

かくいう私も、煉獄杏寿郎が人間の弱さをバカにする鬼と戦う場面での独白「老いることも死ぬことも人間というはかない生き物の美しさだ。老いるからこそ、死ぬからこそ、たまらなく愛おしく尊いのだ」には大いに感じ入りました。泣きませんでしたけど・・でもそうなんだよね。限りある命だからこそ愛おしい。

アニメとしての完成度は言うまでもなく、後半の戦闘シーンの評価が最高です。ミーハーでも見に行く価値はあると思います。