休日に朝寝坊をしていると珍しく固定電話のベルが鳴り、図らずもベッド脇の子機を手にとってしまった。
だいたい家電が鳴るのは超緊急の親戚関係(主に訃報)か、通販商品の再購入のお奨めか、はてまた図書館の返却督促なのだが今回は自動音声アンケートだった。
来月市長選がありますが (え?!そうなの?初耳~)
どの候補者に投票しますか? (その名前初めて聞いたんだけど)
その理由は次のうちどれですか? (だから全然知らない人だって!)
あなたの支持政党はどこですか? (党派より人物本位です)
あなたの性別は? (近頃性別を訊ねてはマズイと思うよ)
あなたの年代は? (大きなお世話なんですけど)
などと心の中で一人ツッコミを入れながらナンバーキーをポチポチするうち結局全部答えてしまった。所用時間3分18秒。
かつて家事や育児や仕事に追われ一分一秒でも惜しかった時代には、この手のアンケートやセールス電話などは旬速で切っていたのに、親切にも協力してしまうのはやはり私が以前よりずっと暇になったからに違いない。
高齢者は時間を持て余している。
年寄りは退屈している。
一人暮らしは誰かと話したい。
いつも誰かを待っている。
これらはだいたいの場合において正しい。
例え認知症でなくてもそれが詐欺に遭う温床であることは悲しいが否めない。