原題「My Sister’s Keeper」 2009年アメリカ合衆国 監督 ニック・カサヴェテス 主演 アブゲイル・ブレスイン キャメロン・ディアス
あらすじ
2歳で白血病に侵された姉のケイトに適合するドナーとなるために遺伝子操作をされたデザイナーベビーとして誕生したアナは、幼い頃から姉の治療のために苦痛を伴う医療的措置を繰り返されていた。13歳になったとき、アナは突如として、自分の肉体をこれ以上傷つけることはしたくないと敏腕弁護士の手を借りて両親に対して訴訟を起こす。
感想
非常に切ない映画ではあったが、理由をいうとネタバレとなるので、詳しく話すことはしない。母親のわが子を死なせたくない一心から来る横暴であると言えば簡単だが、結局誰が悪いともいえない。
生きる権利、死ぬ権利、選ぶ権利、愛する権利と様々なことを考えさせられながら、それでも家族間の密度の濃い愛情が行き交うシーンをいくつも目の当たりにする。母親役で登場するキャメロン・ディアスがいい。
しかし、私が一番印象に残ったのは、ケイトが初めて愛を交わした同病の青年と、その後全く連絡が取れないと泣き叫んだ時、彼が亡くなっていたことを初めて知るシーンだ。連絡が取れなくて一生懸命探していたその人はすでにこの世にはいなかった、という覚えのある人ならこの場面は辛い。
この映画はどうやら原作と生き残る姉妹が逆らしい。しかしどちらであってもやはり悲しい。どのみち運命には逆らえない。寿命だけは生まれたときから定められているのだと私はいつも思う。だから仏教でも天からうけた年を「享年」と言う。