千葉県の「森の墓苑」の見学記です。
この時期近くの小川にはホタルが乱舞し、森に設置した巣箱には幸運にもオシドリが住み着き、子育てをしている真っ最中という恵まれた自然環境と、緑豊かな土地から感じる地味の明るさは墓所というイメージを遥かに越えるものでした。
特筆すべきは、ここが公益財団法人 日本生態系協会が開設した墓苑だということ。採砂場の跡地だった荒れ地を、お骨だけでなく、苗から育てて植樹したこの土地の樹木の成長と共に、墓苑全体を50年の歳月をかけて森に還すというコンセプトがこれまでにない素晴らしい発想です。
そのうち森が育ち目印の木製の表札も朽ちて場所が分からなくなってきたら、入り口の献花台からGPSでお骨のある場所を追跡し、その方向に向けてお参りするということも出来るのだとか。
墓標の替わりに木の下に埋葬する、あるいは花壇の中に納骨する、といったいわゆる樹木葬の枠をはるかに越えた新しい墓苑のあり方は、お墓の継承問題やペットとの合葬、お一人様の増加など時代の変化に対応するものとして多くの支持を集めていくのではないかと思います。