早朝エドフに着いたクルーズ船の前に待ち受けるたくさんの馬車に二人ずつ乗り込み、エドフ観光へ。まだ明けきらぬ街中を駆け抜けホルス神殿を訪れた。
高さ36mの巨大な塔門の前にはファラオの守り神とされるハヤブサの頭を持つホルス神像が威容を放つ。
ここには夫アイシス亡き後、イシスが命懸けで産んで守り育てたホルスを祀る。壁画にはホルスの一生の活躍を描いたレリーフが描かれる。
この至聖所の全室の天井が黒く煤けているのは、後にキリスト教徒たちが台所として使った為と言われる。ここの壁のレリーフもまた多くが顔を傷付けられているのが哀しい。
ようやく朝日の昇ってきた頃、再び馬車に乗ってクルーズ船に戻ると遊園地の出口よろしく出発前に撮った写真を売り込みに来る。3US$と手頃なので買ってしまったが、現地物価を考えるとかなり割のよい商売。早朝から待ち受けるタクシー替わりの馬車での運搬も現地の貴重な産業らしく、人も馬も老若問わず懸命に走る。
私たちの御者はまだ若く、片言の英語で道中の学校やら運動場を案内してくれたり、手綱を取らせてスマホで写真を撮ってくれたりと大サービス。そして最後に「マネー」と言う。チップは既に払ってあるはずなのに、親方からは配分されているのかどうか、請求は当然という顔で手を出す。心優しき相乗り氏が行きは1ドル渡すが、帰りにまた手を出したときには無視。
農業以外に産業のない観光立国では、観光客に対する物売りかサービスでしか現金収入が得られないという厳しい現実を見た思いがした。