未来終活
ワクワクする後半生の設計図を描こう
映画に学ぶ終活

「罪の声」

2020年日本 原作 塩田武士「罪の声」監督 土井裕泰 脚本 野木亜紀子 主演 小栗旬 星野源

あらすじ

平成も終わりに近づいた頃、新聞記者の阿久津英士は、文化部に在籍していたにも関わらず、30年以上前の昭和最大の未解決事件の真相を求めて取材する羽目となり、残されたわずかな手がかりをもとに取材を始める。事件では犯行グループの脅迫テープに3人の子どもの声が使われ、阿久津はそのことに不可解な想いを抱く。

一方、京都でテーラーを営む曽根俊也は、偶然父の遺品の中にカセットテープを見つける。子供時代の想い出だとばかり思って再生したテープの幼いころの自分の声が、30年以上前に複数の企業を脅迫して日本中を震撼させた昭和最大の未解決事件で犯行グループが使用した脅迫テープに使われた声と同じものと知り震撼する。二人は事件を追う過程で必然的に出会うこととなり、共に真相へと迫っていく。

感想

昭和最大の未解決事件グリコ森永事件をモチーフにした塩田武士氏のミステリー小説「罪の声」を、小栗旬と星野源のダブル主演で映画化。監督は「麒麟の翼 劇場版・新参者」「映画 ビリギャル」の土井裕泰、脚本はドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」で知られる野木亜紀子だけあって一瞬たりとも飽きさせない。

犯行に使われた3人の少女と少年の声の持ち主が、その後どのような人生を送ったかというのがストーリーの柱となるのだが、事件の背景や真相の究明はあくまで創作ではあるものの、実際その通りだったのではないかと思わせるほどのリアリティを窺わせて興味深い。

主役の小栗旬と星野源はもちろんのこと、スター級のバイプレイヤーズが脇を固め、演技の質は高い。モンタージュ写真で手配された例のキツネ目の男とそっくりな俳優さんにびっくり。最後に真犯人役として登場する意外な配役も良かった。あの不可解なグリコ森永事件をつい昨日のように記憶している大人たちには是非オススメの一本。

印象的なシーンがひとつ。余命いくばくもない知ったテーラーの曽根の母親が入院先から一時帰宅を希望した理由が、事件の重要な証拠であるこのテープと手がかりとなる手帳を処分することだったと息子に看破され、犯行への加担を吐露する場面。死ぬまで隠し通したかった秘密は誰にでもあるのかも知れない。