未来終活
ワクワクする後半生の設計図を描こう
映画に学ぶ終活

「湯を沸かすほどの熱い愛」

2016年日本 監督・脚本 – 中野量太 主演 宮沢りえ 第40回日本アカデミー賞 最優秀主演女優賞 優秀作品賞 優秀監督賞 優秀脚本賞 他多数受賞

あらすじ

1年前、あるじの一浩(オダギリジョー)がふらっと出奔して以来、銭湯・幸の湯は閉まったままだったが、双葉(宮沢りえ)はパン屋でアルバイトをしながら娘の安澄(杉咲花)と二人で頑張ってきた。だがある日、いつも元気な双葉がパート先で倒れ、精密検査の結果末期ガンとして余命二か月と宣告される。気丈な彼女は残された時間を使い、生きているうちにやるべきことを着実にやり遂げようと決意し、すぐに実行に移すのだった。

感想

まず何といっても宮沢りえがいい。天性の役者だなぁと思う。この映画で彼女は第40回日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞を獲得した。同じく最優秀助演女優賞を獲得した娘役の杉咲花も、複雑な事情の中で生きる思春期の少女の心情を演じて繊細さを見せた。オダギリジョーの無責任亭主ぶりも嵌っていてこの映画の成功は配役の妙によるところが大きいかもしれない。「家族」をテーマにしながら、自分の死後遺される者に対して何ができるかを考え抜いた主人公の行動力に圧倒され、次第に明かされる複雑な背景にその意図を知り涙する。最後のシーンには私自身もハッとしてフリーズしてしまった。なんでそれまで気が付かなかったんだろう?その驚きと共に忘れられない映画の一本になった。終活映画として見応えのある一作である。