2016年日本 原作 大崎善生 監督 森 義隆 主演 松山ケンイチ
あらすじ
難病と闘いながら将棋に人生を賭け29歳の若さで亡くなった村山聖(むらやまさとし)八段の生涯を描いた大崎善生原作の同名小説の映画化。幼い頃から腎ネフローゼを患い入退院を繰り返した聖だったが父から勧められた将棋に夢中になる。病弱の聖の東京行きを後押ししてくれた理解ある師匠との出遭い、病気に苦しみながらもプロ棋士として羽生善治ら同世代のライバル棋士たちと死闘を繰り広げ、まさに命を削るようにして将棋を指し続けた村山聖の壮絶な一生が描かれる。生き切るというのはまさに聖のことだ。
感想
二十年前ビッグコミックで連載されていた「聖の青春」を読んでいた。これがきっかけで小説家大崎善生のファンにもなった思い入れの深い原作。主演の松山ケンイチは聖を演じるために20キロの増量を図ったという。頬はふっくらとさせて浮腫んだ感じを出し体型もコートぴちぴちのボリューム感、髪はボサボサのままで整えず、スマートな松山ケンイチの面影もない見事な役作りだ。
羽生善治九段の最大のライバルと見なされていたのに夭逝してしまった村山聖。ライバルと意識しながらもお互いに尊敬と敬意を抱いていたことを表わす下記の会話が心に焼きついて離れない。
聖 「羽生さんの見ている海はみんなと違う」
羽生「怖くなる時があるんです。深く潜り過ぎてそのうち戻ってこられなくなるんじゃないかと。でも村山さんとなら行けるかもしれない」
聖 「そこはどんな景色なんでしょうね」
羽生「いつか一緒に行きましょう」