未来終活
ワクワクする後半生の設計図を描こう
未来終活エッセイ

安楽死の議論を

先週発覚した安楽死嘱託殺人。この夏、再び起きてしまったこの悲劇に胸が痛む。死んだ人は罪に問われないが、二人の医師は嘱託殺人罪と医師免許取り上げという厳罰を受ける。

世界で安楽死を一定の条件の下に認めているのは、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクとカナダ、アメリカの一部の州、それと唯一外国人も受入れるスイスだけである。

以前、NHKで安楽死を望む一人の女性が姉妹と共にスイスに渡り、亡くなるまでの三日間を取材した衝撃的なドキュメンタリー番組を観た。
前の晩には家族で最後の晩餐をする姿に胸を塞がれた。その翌朝には病院で意思の最終確認をして最期に臨む。「あ〜ぁ、本当に逝っちゃった」遺された姉妹の言葉が心に刺さる。

回復の見込みのない病の末期の苦しみを避ける為には安楽死という自己選択はあるべきというのが私の信念だが、さすがに遺族の気持ちを思うと気持ちが揺らぐ。

この度の嘱託殺人を依頼した女性もスイスに行くことを検討したらしいが、進行したALS患者で目を動かすことでのみ意思を伝えていた彼女には、最期に自分で薬液を飲み込む力も胃ろうへのチューブのスウィッチを押す力さえ残されていなかった。

彼女は望み通りに死ねた。だが、それに手を貸した医師二名の人生はこれからどうなるのか?安楽死についての議論を真摯に深める時期が来たと思う。