未来終活
ワクワクする後半生の設計図を描こう
未来終活エッセイ

宇宙葬に憧れますか?

宇宙葬に憧れを抱いている方は多いかもしれません。銀河鉄道999の世代ならなおさらです。

1997年にアメリカでペガサスロケットを打ち上げて始まった宇宙葬ですが、その規模は現在も拡大しています。

以前は日本で宇宙葬を希望する場合、海外の業者に依頼するしかありませんでしたが、最近では日本でも宇宙葬に対応する業者が何社かあり、今では一般の人も希望をすれば宇宙葬がおこなえるようになりました。


プラン内容のほか、ロケットに遺灰を何グラム乗せるかによっても金額が異なります。
ただいずれの場合も宇宙に飛ぶのは1gが基本なので大部分の遺灰は地上に残ることとなりますので、その手配は必須であることを忘れてはなりません。

宇宙葬の種類として以下のものがあります。

①月面供養

遺灰を納めたカプセルをロケットに搭載して月に送る方法です。
散骨ではなく月面に安置する=月をお墓にするという考えで、残された人は地球のどこからでも、
月を見上げてお墓参りができるというコンセプトで、費用の相場は120万円~。
あの銀河鉄道999の松本零士氏も「死ぬまでにこの目で地球を見ておきたい。間に合わなかったら、
遺骨を宇宙まで送ってほしい」と自分の髪を月まで送ることを希望しているそうです。

②流れ星供養

遺灰を納めたカプセルを、人工衛星に乗せて打ち上げる方法です。
打ち上げられた人工衛星は、地球を数か月から数年、地球の軌道を周回した後、
大気圏に突入して燃え尽き、流れ星となる最後の姿から、流れ星供養と呼ばれています。
プランによっては、専用アプリで周回する人工衛星の位置情報を確認でき、費用は30万円~。

③宇宙探検供養

遺灰を収めたカプセルを宇宙の果てまでどこまでも飛ばすもので、費用は250万円~
生前叶わなかった宇宙旅行を死んでから自分や肉親にプレセントしようというロマンあふれるものです。

④バルーン葬

バルーン葬は、遺骨や遺灰を巨大なバルーンに入れて空へ向けて飛ばす方法です。
成層圏に到達するとバルーンが割れ、遺灰が空中に散骨されます。
地上100キロのカーマンラインを超えない為、厳密には”宇宙”葬ではありませんが、広義の意味で宇宙葬のひとつに数えられることもあります。

費用は20万円代からと、宇宙葬の中では最も安価で手が届きやすいこと。
また、申し込みも実施も日本国内でおこなうことができ、移動や心理的負担も少なくて済むでしょう。

宇宙葬のメリットと注意点

宇宙葬はどのような人に向いているのでしょうか。また、実施にあたって注意するポイントは?ここでは宇宙葬のメリットと注意点をご紹介します。


宇宙葬のメリット:生前の夢を叶えることができる

宇宙葬の希望者に「なぜ宇宙葬にしたいのか?」と聞くと、宇宙が好き・宇宙旅行がしたかったから、という理由がよく上がります。

生きている間に宇宙飛行士になる、宇宙旅行をするのは、費用の面でも機会の面でも非常に難しいことです。その点、生前の夢を死後に叶えられるというのであれば、宇宙葬にかかる費用も高くはないと感じる方もいるのかもしれません。

「死後に宇宙旅行を予約した」という考え方で、宇宙葬を生前予約する方もいます。


宇宙葬の注意点①: 詐欺やトラブルに巻き込まれないようにする

宇宙葬は20数年前に始まった、まだまだ新しい埋葬の形式です。
そのため情報が少なく、口コミや評判など、利用者のリアルな体験談を聞ける機会はあまりありません。

また、現在の法律は、遺骨はお墓に納めることが大前提の時代に作られているため、散骨については法整備が遅れているのが実情です。そのため、「違反しているとはいい切れないが、節度を守っておこなう必要がある」など、デリケートな社会問題として取り扱われます。

実績があるしっかりした会社を選ぶ、決める前に葬儀のプロに相談するなどの対策をして、トラブルに巻き込まれることのないようにしましょう。


宇宙葬の注意点②:実施までに時間がかかる場合も

宇宙葬は、プランによって実施までに何年もかかるということもありえます。

比較的個人の希望スケジュールに対応してくれるバルーン葬であればまだしも、1人ではなく複数人の遺灰を一度に打ち上げる月面供養や流れ星供養では、ロケットや人工衛星の打ち上げスケジュールによって、申し込みから時間がかかる場合がほとんどです。また、予定されていた打ち上げが中止になるケースもあります。

無事に終えるまで、どのくらい時間がかかるかわかりません。ご自身やご家族にとって、この時間を受け入れられるかも考えなければなりません。


宇宙葬の注意点③:宇宙葬に使われる遺骨・遺灰はごく一部

ロケット宇宙葬の場合、実際に宇宙に打ち上げられる遺骨・遺灰は数グラムとごくわずかです。残りの遺骨・遺灰は別の方法での供養が必要になります。

宇宙葬のプランの中には、打ち上げて残った遺灰の永代供養や手元供養などに対応してくれるものもあります。宇宙にすべて打ち上げて終わりではないので、残った遺灰をどうしたらよいかまで、併せて考えておきましょう。
宇宙葬には生前の準備が必須。早めの相談で選択肢を広げましょう

以前はリアリティのない宇宙葬でしたが、今では私たちにも手が届く葬儀・埋葬の一形式となりつつあります。とはいえ、まだまだ新しい葬儀・埋葬のかたちであることは事実です。