未来終活
ワクワクする後半生の設計図を描こう
映画に学ぶ終活

「ラッキー」

邦題「ラッキー」原題「Lucky」 2018年アメリカ合衆国 ジョン・キャロル・リンチ監督 主演 ハリー・ディーン・スタン

あらすじ

ラッキーは90歳。元海兵隊で一番仕事が楽な調理部に配属されたことからラッキーと呼ばれてきたらしい。生涯独身で気ままな一人暮らしをする彼の日常はコーヒーとタバコを嗜み、なじみのカフェでクロスワードパズルを解き、帰りに雑貨屋で買い物をし、夜は気心の知れた仲間とバーでブラディマリーを飲む。事件と言えば友人のリクガメが逃げ出したことくらいで、その日常は淡々として変わることがない。ある日不摂生のくせに健康自慢の彼が原因不明で倒れたことをきっかけにラッキーは自身の死を意識し始める。

感想

何気ない日常の中に初めて死を意識したラッキーの心象風景が描かれるところが秀逸である。子供の頃にBB弾で撃ち殺してしまった小鳥のこと。暗闇の中で突如恐怖を感じた思い出など。尋ねてきた知人に誰にも言ってくれるなと口止めして「実は怖いんだ」と告白し、ラッキーの本心が覗く。ある日カフェに偶然入ってきた元兵士は、ラッキーと昔話を始め、沖縄戦の話で日本人の少女が自決死を前にして美しく微笑んでいたことを不思議だったと語り、ふたりで死への想いにふけるシーンが奥深い。
この映画で初めて「終活」という翻訳が出てきた。END OF LIFE PLAN=終活「家族の為に備えておかないのは罪だ」と弁護士が請け負った内容は火葬料の前払いと遺言状と委任状。日本の終活ブームはやはりアメリカにもあるらしい。