1980年 日本 角川映画 原作 小松左京 監督 深作欣二
主演 草刈正雄
あらすじ
密かに開発されていた生物兵器が軍事スパイの手に渡り、運ぶ途中の飛行機がアルプス山中に墜落。保管していた容器は破損し、ウィルスは世界中に散っていった。免疫機能が破壊された人類は壊滅状態に陥る。ウィルスはマイナス20度以下の極低温では動作しないため、南極基地にいる各国探検隊と、ウィルスの発現以前にイギリスから出発し南極に向かっていた原子力潜水艦の乗務員だけが生き残る。人類再興の為に南極政府が立ち上がり、わずか8名の女性隊員は貴重な資源となり、妊娠・出産が義務付けられる。直後、予期される地震による米国軍事システムの誤作動を防ぐため二人の勇者がワシントンに向かったが間に合わず、自動報復攻撃システムが作動し、ソ連側からも同様に報復システムが作動して世界中の軍事基地に核攻撃を加え、人類ばかりか地球自体が絶滅の危機に曝される。
感想
これは終活映画ではなく終末映画だ。今起きている新型コロナウィルスが南極以外のすべての地域にあっという間に蔓延する状況に酷似していると40年前のこの映画が話題になっている。原作の小松左京氏がこれを1964年に書いているのが驚きだ。27歳のフレッシュな草刈正雄が地震学者の主人公として登場する。他にもロバート・ボーンやオリビア・ハッシーなど、当時日本では大人気だったハリウッドスターが競演しているのが見どころ。軍事システムの作動を止めようとワシントンに向かった主人公が間に合わず、徒歩でグランドキャ二オンやメキシコの海岸やマチュピチュを経て、南極基地への核攻撃を避けるために南米大陸南端に避難した基地の仲間のいるところに戻ろうする。何年かかったか知れないその行程が最後の見せ場となるのだが、夕陽を背景としたボロボロになった主人公のシルエット映像が絶滅しかけた人類の儚さと一筋の希望を同時に表現する。人はたった一人では生きていけない。最後の望みは愛する人の許へと帰ることだと示唆するラストシーンは人類の永遠のテーマだと思った。