未来終活
ワクワクする後半生の設計図を描こう
未来終活エッセイ

親の認知症

ある老人施設に入所する老婦人にモンスターチルドレンとも言うべきクレイマー息子がいました。彼は訪ねて来るたびに些細なことにもケチをつけ文句ばかり並べたてて、職員を辟易させたそうです。

しかし彼の真の要求はそんな些末事ではなかったのです。あんなにしっかりしてきちんとした性格だった母親が認知症になるなんてあり得ない!母親がボケてしまったのは、預けている施設が適切な対応をしなかったからだ!ということらしいとわかってきました。怒りの矛先が定まらなくて身近な関係者に牙を向ける典型ですね。

施設長は辛抱強く彼の話を聞き、ある時静かにこう言ったそうです。
「お母様はね、歳をとられたのですよ・・」
それを聞いたクレイマー紳士はハッと凍り付き、次の瞬間「ああ!そうか〜」と言ったそうてす。
親の現在の姿をありのままに受容出来た瞬間でした。それからクレームが消えたことは言うまでもありません。

将来ひょっとして皆さんが親の認知症を経験するとき、自分の心にこうした段階を踏んだ経緯があることを知っていれば、自分の反応に慌てずに済むかも知れません。